おとぎ話のパッチワーク

 グリム、ペローなどのおとぎ話に魅せられて、最近、図書館でも書店でも必ずこのコーナーをチェックするようになった。よく言われるように、民話、童話の再読の価値は高い。大人こそ読み返してみるべきとは、その通りだと思う。(わたしの場合、お話じゃなくて、絵本のほうに走ってしまうのだけれど。「絵」も大事だから。)
 その傾向が子どもにも伝わったのか、家でここのところ繰り返しリクエストを受けているのがおとぎ話をベースにしたチャイルドの絵本。必ず『Beware of the Storybook Wolves』(邦訳『こわがりハーブ えほんのオオカミにきをつけて (ほんやくえほん)』)が先で、次に『Who's Afraid of the Big Bad Book?』(邦訳『いたずらハーブ えほんのなかにおっこちる (ほんやくえほん)』)を読む。娘は、作中に出てくる絵本の存在に魅せられる。とくに主人公の男の子ハーブが、自分と同じ絵本(2作目)を手にしている事実は刺激的らしい。表紙に本を持つハーブがいて、ハーブが持つ本の中にも同じ本が描かれていて……。三面鏡をのぞいて味わうような、鏡の向こうのそのまた向こうの向こうの向こうの……世界を見入る不思議さに興奮している。
 1作目ではおとぎ話の登場人物が絵本から飛び出してきて、2作目ではハーブが絵本の中に入り込むという設定。どちらかというと娘は1作目、息子は2作目を好んでいるかな。2作目のほうが、切り抜きあり、さかさまページあり……で、エンタテイメント性に富んでいる。作中に電話のスティッカーを張ったり、口ひげやめがねの落書きをするところなど、いたずら好きの息子のことだから共感できるみたい。クスクス、ケラケラ笑っていた。わたしは、ゴールディロックス、ヘンゼルとグレーテルラプンツェル長靴をはいたネコ登場のページにワクワクした。
 こういう遊びって、日本の民話じゃ表現できないのだろうか。「おふざけ」として受け取られてしまうのかな。視覚表現方法にもよるだろう。(asukab)

  • 米英で表紙が違うので、これまた何だか新鮮(邦訳は英版)

Beware of the Storybook Wolves

Beware of the Storybook Wolves

こわがりハーブ えほんのオオカミにきをつけて (ほんやくえほん)

こわがりハーブ えほんのオオカミにきをつけて (ほんやくえほん)

  • 2作目のほうが、エンタテイメント性あり

Who's Afraid of the Big Bad Book?

Who's Afraid of the Big Bad Book?