ちまたで話題の絵本

 話題の絵本『Fancy Nancy』を娘と読む。なるほど、なるほど、人気の秘密は最後のページにあった。
 ナンシーは、なんでも華やかに飾るのが大好き。リボン、レース、造花、羽飾り、光り物を部屋の中にも洋服にもたくさんつけてしまう。紫色のかわりに「フューシャ」、羽根のかわりに「プルーム」なんていう洒落た言葉を使ったりもする。でも、ナンシーのおかあさん、おとうさん、妹はまったくファンシーじゃない。そこで、ある日、普通とファンシーの違いを教えてあげようとお洒落のレッスンをしてあげた。すると、みんなファンシー気分で着飾って、じゃあ食事にでも行こうかと、「ごっこ」の乗りで繰り出した。
 娘は表紙のキラキラ加工にまず魅せられ、ついで中表紙、飾り付ける前のナンシーの部屋とその後の部屋を比べることに夢中になった。お話の中で「普通」と「ファンシー」の違いが言葉やスタイルで紹介され、なんともかわいい。米国の女の子って、こういう光る色、目立つスタイルが大好きだから、人気絵本であることが十分うなづけた。
 自分が女の子の母親になり、すでにそのスタイルに埋もれているっていうのも笑えてしまう。渡米したばかりの頃は、「何、この派手な様相!」なんてあきれていたのに、この国で子どもたちと触れ合ううちに彼らの好みがわかり、気がつけばいつの間にか自分も同じものを好むようになっていた。
 あれだけファンシーを得意にしていたナンシーだけど、最後は普通のナンシーに。このときの一言が効いている。そうなんだ、この気持ちにファンシーも普通もない。イラストがもう少しファンキーだったら、さらに生きた絵本じゃないかと感じた。メッセージがすてきなだけにちょっと残念。NYタイムズ紙(絵本)の1位にランクされていて、ちょっとびっくり。(asukab)

Fancy Nancy

Fancy Nancy