ケニアの暮らし

 ケニアの生活を少年の1日を通して愉快に描く『For You Are a Kenyan Child (Ezra Jack Keats New Writer Award)』(邦訳『ぼくのだいすきなケニアの村』)は、まず表紙のおおらかでカラフルなイラストに魅せられた。ところがこの絵本、イラストだけじゃない。なかなか内容の濃い作品なのだ。スワヒリ語がところどころに登場するちょっとした文化紹介絵本でもあり、低学年向けでも息子といっしょにかなり楽しめた。かばとかめの写真絵本(4月7日付)にあった「Mzee」という言葉は「長老」を意味する。発音は「ムゼイ*1なんだそう。
 家の中の匂い、周りに住む動物たち、食べ物、草原の風景……ここはケニアなんだもの、もちろんわたしたちの生活環境とは異なる。「Hodi?(=Anybody home? 誰かいる?)」「Karibu!(=Welcome! いらっしゃい!)」は誰かを訪ねるときのお決まりの挨拶だそうだ。親しみにあふれるコミュニケーションの仕方だなあ。心の大きさが感じられる。
 冒頭にあるスワヒリ語の解説がいい。3月にアフリカ・プロジェクトを終えたばかりの息子だったから、さらに興味を持って絵本を楽しんでくれたのかもしれない。絵も内容も大満足。画家は『Frida』を描いた人だから、当然といえば当然の魅力なのだった。(asukab)

ぼくのだいすきなケニアの村

ぼくのだいすきなケニアの村