George Did It 不言実行のジョージ アメリカ初代大統領ジョージ・ワシントン

 『George Did It』には、本国英国から自由を勝ち得た1775年から大統領就任演説のあった1789年4月30日までのジョージ・ワシントン人となりが描かれる。13領土をまとめ英国と戦った功績から、人々はジョージを初代大統領へと熱く懇願した。しかし、当の本人は大統領になどなりたくない。多忙さと責任の重さを考えると、気持ちが暗くなった。それでも、頼まれたら文句を言わず、きっちり仕事をこなす人物である。皮肉にも彼の責任感と公正な判断力が、ジョージへの信頼をゆるぎないものにした。
 絵本は史実よりも、ジョージの人柄に焦点を置く。普通の人でいたかったこと、そして普通の人と同じようにふるまったことなど、国家形成に貢献した重鎮の姿は、実は庶民そのものだった。故郷から勤務地のニューヨークに移り住む際など旅費が足りず、近所の家族からお金を借りて出発したそうだ。道中、歓迎式典が華々しくなるのに疲れ果てる姿――それでも表情は終始にこやか――、首都で議員ら多くの政治家と今後の国の指針を定める姿――嫌だとは言っていられず、もちろん真剣である――などなど見ていると、政治家って大変な仕事なのだと実感せずにはいられない。就任演説は原稿の読みっぱなしだったと批判されても、ジョージは就任中、肝心な仕事をしっかりこなした。要はそこ! 不言実行である。
 初代大統領の隠れた姿、エピソードを知ることができ、息子も楽しそうだった。(asukab)
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  • 参考文献リストがあるので、レポートなどに便利

George Did It

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