The Shivers in the Fridge 冷蔵庫の中のブルブール一家

 このユニークなお話の設定は、いったいどうやって生まれたのだろう。『The Shivers in the Fridge』の舞台は、とある冷蔵庫の中である。ここにやってきて以来、ブルブール一家は毎日ぶるぶる震えながらの生活を送っている。白い息を吐く表紙の一家を見ただけで、こちらはぞくぞく身震いするほどイマジネーションの世界に引きこまれた。まわりには野菜、果物、牛乳やチーズ、ジャムのびん……、毎日目にしている食べ物が並ぶ。パパ、ママ、おじいちゃん、おばあちゃんとぼうやの五人は、突然現れる大きな手と同時に起きる大地震に悩まされながらも、たくさんの食べ物に囲まれた日々をとびきり愉快に紹介する。あまりに寒いから、どこか暖かい場所はないものかと探検に出かけると、あれ〜、とんでもないことが……。
 キャラクター五人の性格と冷蔵庫内の描写が、最初から最後まで弾けていて文句なく楽しい。なじみのある食品パッケージやマークに実写コラージュが使われたりして、日常そのものを描くイラストに子どもは100%親近感を覚えるだろう。ブルブール一家がなぜ、冷蔵庫で暮らすことになったのか。中表紙から始まる展開をじっくり追えば、爆笑の帰結で納得である。日常で実際起こったことが膨らんで、こういうお話になったのかな……と、作者の暮らしやキッチンに思いをはせた。
 とにかく、遊び心いっぱいのお話とイラストに脱帽。久々に家族全員で大笑いした絵本だった。これからしばらく、毎日話題に上りそうかな。冷蔵庫って、ある意味、生活の中心に構えているものね。(asukab)
amazon:Fran Manushkin
amazon:Paul Zelinsky

  • 体の平べったい一家は、いったい何者なのか……

The Shivers in the Fridge

The Shivers in the Fridge