金曜日のマフィン屋さん

 熟れすぎて真っ黒になったバナナを手にした息子が一言、「マフィンを焼こう!」――。娘といっしょにキッチンに向い、彼はさっそくレシピを取り出した。「にんじんがないから、今日はかわりにリンゴ。ジュースはクランベリージュース」。過去何度か焼いているので、こなれた手つきで小麦粉、砂糖、ベーキングパウダー……の計量が始まった。卵ぽとんのかき混ぜ役は、娘である。
 オーブンに入れて、待つこと十五分。甘いバニラの香りが漂って、はい、できあがり。焼きたてが、なんといっても一番の味。みんなでストーブのまわりに集まり、はぐはぐふうふうバナナ・リンゴマフィンをほおばった。