How the Hibernators Came to Bethlehem どうぶつたちのクリスマス

 季節はずれの絵本レビュー。『どうぶつたちのクリスマス』は、宝の小箱からそっと取り出して味わうクリスマス絵本です。原書『How the Hibernators Came to Bethlehem』を手にしただけですが、この絵本にはクリスマスと絵本両者の魔法が宿っているので、日英いずれにしてもメッセージは深く伝わるでしょう。
 救い主降誕のうれしい知らせを冬眠中の動物たちに伝えていくのは、冬の空に輝くクリスマスの星です。そのまぶしさは、絹のように細く、けれども強い一条の光となり冬の原野に放たれました。動物たちは一匹一匹、不思議な光に気づき惹かれていきます。こうして、クマ、アナグマ、スカンク、アライグマ、カメ、子リス、コウモリらは星の歌に誘われ、静かにベツレヘムを目指すのでした。彼らが「何だろう」と星に導かれていく光景は、詩人である作者の豊かな表現力と繊細でかつ素朴な画風のイラストにより清らかに描かれます。小さな読者も動物たちに共感し、「何だろう」という気持ちで星を追うことでしょう。
 厳かで心温まる馬小屋の風景がすてきです。「クリスマスおめでとう」という気持ちに満ちた絵本です。
 原書2006年版の表紙は、表紙下方に赤い文字でタイトルが印刷された1980年版と異なり、星と動物たちの間に銀色の文字でタイトルが入っています。タイトルの銀色がさらに凛と冬の夜気を伝えてくれ、それはそれは美しいのでした。原文では詩的な表現が多いので、日本語ではどうなのか興味が湧くところです。(asukab)
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  • この冬、購入できなかった一冊なので、次のクリスマス用に。祐学社(1981年)から出ていたものを米国での再版(2006年)に合わせ、日キ出版局が再出版! 心眼に敬服です。聖公会出版もこのくらいがんばって欲しいなあ。日曜学校の定番クリスマス絵本

どうぶつたちのクリスマス

どうぶつたちのクリスマス