5ひきの小オニがきめたこと

 一週間の始まり、月曜日の夜。就寝前に子どもたちといっしょに読んだ絵本『5ひきの小オニがきめたこと』(原書『Five Little Fiends』)が、生きることについて深く考えさせてくれました。
 原っぱに五匹の小オニたちが住んでいました。小オニたちはある日、まわりに広がるすばらしい景色からひとつずつお気に入りを自分のものにしてしまいます。

「おいらは、太陽を手にいれよう。」
「おれは、空をもらおうっと。」
「大地をひっぱっていこう。」
「ぼくは、月をつかまえよう。」
「海がだいすきなんだ。」

 みんな自分勝手に好きなものを手に入れたけれど、そのうち大切なことに気づき始めます……。
 小オニという存在、大胆なイラストの構図、わかりやすい表現、大切なことを考えさせてくれるテーマ――。息子も娘もとっぷりと夢中になる絵本です。親子三人で小オニたちの行動をしっかり見守った後でも、「もう一回読んで」「もっと読んで」が続きました。核心に触れる作品だけに、大人も「絵本っていいな」が繰りかえし実感できます。
 あとがきにある「自然はすべてつながっている」という本質をつく一言から、人間、生命、自然、宇宙……いろいろなことに思いを巡らさずにはいられません。訳者が宇宙飛行士の毛利衛さんであるだけに、その言葉にも重みが感じられます。(asukab)
amazon:Sarah Dyer 

  • 英国の絵本。文章は少なくても読み応えたっぷり。四月のアース・デーに読むのもいいかも。

5ひきの小オニがきめたこと

5ひきの小オニがきめたこと