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Yucky Worms あいすべきミミズくん

"Yucky Worms (Nature Storybooks)"は、庭づくり、畑づくりの前に一読すると楽しい絵本。男の子がおばあちゃんからミミズのことを教えてもらい、ミミズの生態、庭の自然に興味を持ちはじめる。 ミミズが土を肥やすことは知っていても、そのために小さな石や…

Living Sunlight: How Plants Bring the Earth to Life 命を支える植物の話

MITで32年間、生態学の教鞭を執る教授により執筆された絵本。植物プランクトンがどのように海洋を豊かにし、炭素と酸素の循環を支えているかを説く。地球生命の科学的存在を描く、内容の濃い絵本だった。 個人的に惜しむべきと感じた点はイラストだ。生…

Redwoods 異色のノンフィクション絵本

一風変わったノンフィクション絵本に出会った。冒頭、少年が地下鉄駅のベンチで手にした"Redwoods"はまぎれもなく本書である。ページを開くと、そこには世界一の大高木セコイアについて興味深い事実がたくさん記されていた。セコイアの起源は恐竜の生息した…

Traces あしあとをおえば……

無いものを見る作業は楽しい。自然の中にひっそりと残された動物たちの「あしあと」を目にして、今さらながら足跡の魅力を確かめた。といっても絵本『Traces』でのことだけど。 なにかが、だれかが、たった今までここにいて、ふといなくなった――あしあとだけ…

たった いっぽんの まつのきに 

小さな子どもたちに自然の豊かさを伝える絵本『たったいっぽんのまつのきに (NatURe MaPS)』(原書『Just One Quiet Pine Tree』)には、すてきな秘密がたくさんつまっていました。 のはらに ぽつんと まつの きが いっぽん。 たった いっぽんの まつの きに…

ぼくの庭ができたよ

『ぼくたちのかしの木』*1の主人公「ぼく」と妹のカロリーナがぼだい樹通りの広い庭のある家へ引っ越してきた。絵本『ぼくの庭ができたよ』は、荒れ果てた庭を緑でよみがえらせる兄妹と友人たちの姿を描く。 園芸道具や庭のデザイン、草花やハーブの種類、庭…

ぼくたちのかしの木

温帯多雨林の森で「いい湯だな〜」――。ずっと夢に描いていた温泉キャンプ旅行が、この週明けに実現できた。目的地はオリンピック半島ポート・エンジェルス市から入るオリンピック・ホットスプリングス。水着で入るワイルドな露天風呂は、心と体に元気をもた…

Wild Tracks!

『Wild Tracks!: A Guide to Nature's Footprints』は、北米に住む野生動物の生態を実物大の足跡と共に紹介する絵本。 足跡探しは、楽しい。森に探索に出かけるとき、持参してもいいかもしれない。「実物大」の迫力に勝るものはないなあ。折り込みの見開きが…

Buffalo Music

『Buffalo Music』も、北米野生動物もの。狩猟過多のため絶滅寸前に追い込まれたバファローを飼育し、野生動物保護に貢献したマリー・アン・グッドナイト(なんて素敵な苗字!)の働きを描く。作中では、モリーとして登場する。 作品一番の魅力は、一人称に…

The Wolves are Back

『The Wolves Are Back』は、イエローストーン国立公園に生息するオオカミと野生動物の生態を描く絵本。柔和な動物だけを保護する政策が取られたため、狩猟が奨励されたオオカミは1926年頃、ほぼ全滅だったという。でも、その後、保護政策が変わり、やっとオ…

Scoot! 水辺の自然に目を向けて

まだまだ肌寒く、春遠い日が続きます。そんなときに水辺の豊かな自然を謳歌した『Scoot!』のような絵本を見てしまうと、さわやかな夏がたまらなく恋しくなります。果たして今年、当地に夏は来るのでしょうか。あまりに寒い日ばかりなので、ふと心配になって…

Babies in the Bayou 水辺の赤ちゃんたち

Bayou=バイユーとは、流れの緩やかな水域のこと。米国南部の河、湖、沼の入り江に見られます。水の流れがほとんどない状態なので水面はよどみ、灼熱の太陽の下、まるで時間も止まっているかのようなゆっくりとした一日が過ぎていくのです。(ここはブルース…

A Seed is Sleepy たまごの次はタネの絵本

『An Egg Is Quiet』*1(邦訳『たまごのはなし―かしこくておしゃれでふしぎな、ちいさないのち』)に続く第2弾が『A Seed Is Sleepy』。繊細でエレガント、静謐なイメージのあった前者に比べ、後者は雄大な自然の小さな秘密を豊かに大胆に描くといった印象が…

On Meadowview Street メドービュー・ストリートのおうち

一見、表紙から『On Meadowview Street』のよさはわからないだろうなあ……というのが第一印象。米国の画一的な宅地開発にさらりと触れて、小さな庭作りから広がった生態系を賛歌する秀作絵本だった。 新しい家に引っ越してきたキャロラインは、住所が「メドー…

The Tale of Pale Male ニューヨークの鷹ペール・メールのお話

『The Tale of Pale Male: A True Story』は、高層ビルの立ち並ぶニューヨーク・マンハッタンに居を構えた鷹、ペール・メールの実話絵本だ。都会の空に弧を描く勇壮な姿が話題になり、1993年以来、バードウォッチャーたちの熱い視線を浴びていた。絵本ではメ…

5ひきの小オニがきめたこと

一週間の始まり、月曜日の夜。就寝前に子どもたちといっしょに読んだ絵本『5ひきの小オニがきめたこと』(原書『Five Little Fiends』)が、生きることについて深く考えさせてくれました。 原っぱに五匹の小オニたちが住んでいました。小オニたちはある日、…

A Drop of Water 一滴の水

男の子がせせらぎで、指からしたたる一滴の雫を見つめている。ここから視点はどんどん上昇し、雨粒、せせらぎの流れ、池、滝を見渡すほどになる。ここまでくると、まるで悠々と弧を描く鷲になったかのような気分。鹿、ビーバー、ムースなど動物たちの生息地…

静かなたまごたち

ため息がでるほど繊細で華麗でカラフル――。『An Egg Is Quiet』(邦訳『たまごのはなし―かしこくておしゃれでふしぎな、ちいさないのち』)は、鳥、爬虫類、両生類、昆虫、魚のたまごを美しい水彩画で紹介する、科学とアートがドッキングしたノンフィクショ…

ひとしずくの水

「水」のさまざまな表情を科学的解説といっしょに写真で紹介する絵本が『ひとしずくの水』。水は分子が集まってできているという話から始まり、表面張力、付着力、毛管現象、蒸発、凝結など、身近な不思議にわかりやすく答える章が続く。昔、理科の時間に習…

アースマザーの1日

息子のアフリカ・プロジェクトに合わせて『Earth Mother』を読んでいた。 アースマザーは、自然を司る母。彼女が大地を歩き、海で泳ぎ、山に登れば、自然の姿が眩しく輝き出す。そこに登場するのが、人間と蚊と蛙。三者はそれぞれ自分たちが暮らしやすいよう…

うんち――この謎に満ちたすばらしきもの――

息子の熱烈なリクエストを受けて『Poo うんち―この謎に満ちたすばらしきもの (ほんやくえほん)』を読む。小学生向けにうんちの役割をわかりやすく説くノンフィクション絵本である。 まずは身近なところからウンチの話に入り、肉食動物、草食動物、小さな生き…