That Rabbit Belongs to Emily Brown 大好きなぬいぐるみといっしょに読む絵本

 かわいらしい絵本に出会いました。『That Rabbit Belongs to Emily Brown』(邦訳『そのウサギはエミリー・ブラウンのっ! (児童図書館・絵本の部屋)』)には、うさぎのぬいぐるみと楽しく過ごす女の子と、彼女のぬいぐるみが欲しくてたまらないおひめさまのやりとりがかわいく愉快に描かれます。
 金色のテディベアや、おしゃべり人形10体……おもちゃなら何でもあげるから、うさぎとかえっこして欲しいグロリアナひめ。でも、お城の使いがやってくるたびエミリー・ブラウンは「これはわたしの! うさぎさんはあげません!」と断固として譲りませんでした。それでもあきらめきれないおひめさまはとうとうある晩(ここぞとばかりに権力を振りかざし)、うさぎを盗み出してしまいます。怒ったエミリーはさっそく翌朝、お城に向かいました。
 うさぎのスタンレーは、くたくた汚れていてもエミリーにとっては「特別」な存在です。おひめさまは、その愛着ぶりがうらやましくてしかたなかったのでしょう。誰かのおもちゃが欲しくてたまらないこの気持ちは、子どもならきっと誰もが共感するところでは。親近感の湧くテーマが、実写コラージュとコミカルなペン画で愉快に描かれ、手に取る読者はたちまち絵本にも愛着が湧くのでした。
 大切な存在をあたたかく浮き彫りにしてくれ、素直に頷ける作品です。わたしのうさぎさんは何だったっけ。なんとはなしに振り返りました。(asukab)
amazon:Cressida Cowell
amazon:Neal Layton

  • 英国発売以来、ずっと気になっていた絵本。お話もイラストも、とってもキュート!

That Rabbit Belongs to Emily Brown

That Rabbit Belongs to Emily Brown