絵本の中の家族像

 あちらこちらでフェミニズムの言葉を目にしたので、自分なりの思いをつづる。子どものいる風景とフェミニズムの風は相反するという印象があった。それは今でもそう。母親がいて、父親がいて、子どもが育つ風景。絵本の中ではごく当たり前の家族像なのだが、そうでない家族もあっていい価値観は多様化の波が教えてくれた。
 つまり、フェミニズムでもアンチでも、スタンスはどちらでもよいのである。本人たちが心地よく、まわりに迷惑をかけていなければ。問題なのは、フェミニズムでもアンチでも、ジャッジメンタル(決め付け)になり、他人に自分の視点を強要することだ。だから世の中、波立ってしまう。
 ひとつ言える真実は、子どもといっしょに大人が育つ体験は、かけがえのない人間の成長であるということだろう。世の中には、それこそ多種多様な生き方が存在する。でも、子育てほど難しくて、楽しくて、人間の学べる体験はそうそうない。この視点が見えるのと見えないのではまったく別世界に生きることになるので、まことにすごい選択だなと思う。原点を確認し機軸を動かさずに生きていれば、主義主張は視界に入らなくなってくる。