Kids こども

 最近家で読んだばかりの絵本*1を、昨日は学校で読む機会を与えられた。題名は『Kids』(原書『こども』)。
 わたしを含め計4人の少人数で、輪になっての読書。最初の見開きを全員で読み、次に順番に2ページずつ輪読することにした。Tちゃん、Vちゃんは2年生。Cちゃんは3年生。Tちゃんを除いた2人の家族はそれぞれベトナムとメキシコからの移民。Tちゃんは家の事情で去年まで就学しておらず、ほとんど字も数も知らない状況で転入してきた。
 3人の性格が現れる音読で、非常に興味深かった。Cちゃんは年は一番上だが、読みが苦手。(家で何もしていないことが一番の理由。)そこで、Tちゃん、Vちゃんが助けようとすると、顔を強ばらせて怒るのだった。つっかえつっかえゆっくりで、多分待っている方もつまらなかったと思う。一方、Tちゃん、Vちゃんは自分の読む番になると張り切って音読した。同時にイラストを楽しみ、文中の問いかけに答え、絵本の魅力をたっぷりと味わっていた。Cちゃんが「わたしの読む番!」「(あなたが)わたしの読むところを読んだ!」と文句を言い、かっかしている間に。
 Cちゃんの人間的弱さは明らかに学習面から発している。頑張れば成果が上がるとか言う以前の問題で、家庭の文化なのか気風なのか、家では甘やかされテレビを見てゲームをする以外、何もしていない。学校でもひとつのことに集中ができず「水を飲みに行きたい」「足を怪我した」……と、隙を見ては授業から離れ怠けて遊ぼうとする。教師たちがどんなにサポートしても、結局、学習面での満足感が味わえない欲求不満が性格に表れ、年下の子どもたちをいじめることになる。
 絵本に出てくる子どもたちも、優しい子どもばかりではない。いじめっ子、いばりんぼもいるので、輪読しながら、何と内容に即したリーディング・サークルだろう……としばし絵本と現実の間をふんわり意識が行き来していた。全員国籍の違う読者同士、絵本の子どもを目にして、さまざまなことを感じ取ったと思う。(asukab)
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  • 久々に教室で絵本を読み、楽しいなと思えたひとときだった

Kids

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追記:日本語の「ちゃん」付けすると、話全体のイメージが変わってしまい驚く。本当は名前だけで呼んでいるのだから、イニシャルだけでいいのかな。