落ちこぼれ
今年は年頭から和菓子に見せられ、作ってみると同時に歴史なども紐解いていました。そこでふと連想したのが茨木のり子さんの詩集『落ちこぼれ―茨木のり子詩集 (詩と歩こう)』です。以前、やまねこ新聞社の山猫編集長さんから紹介していただきました。どのページにも、人間を深く洞察した言葉が静かに煌いています。挿絵も人の無垢な心を描いていて、すてきなのです。
和菓子から「落ちこぼれ」を想起した理由は、一行目に記されています。
「落ちこぼれ」
落ちこぼれ
和菓子の名につけたいようなやさしさ
落ちこぼれ
いまは自嘲や出来そこないの謂
落ちこぼれないための
ばかばかしくも切ない修業
落ちこぼれにこそ
魅力も風合いも薫るのに
落ちこぼれの実
いっぱい包容できるのが豊かな大地
それならお前が落ちこぼれろ
はい 女としてはとっくに落ちこぼれ
落ちこぼれずに旨げに成って
むざむざ食われてなるものか
落ちこぼれ
結果ではなく
落ちこぼれ
華々しい意思であれ
「結果ではなく、華々しい意思であれ」。人生、ずっとそうありたいと再確認です。
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- 作者: 茨木のり子,水内喜久雄,はたこうしろう
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