Planting the Trees of Kenya ノーベル平和賞マータイさんの働きを描く絵本

 『Planting the Trees of Kenya: The Story of Wangari Maathai (Frances Foster Books)』は、2004年ノーベル平和賞受賞ワンガリ・マータイさんの働きを描く絵本である。
 その昔、緑豊かな土地だったケニヤは、森林伐採で荒廃し始めていた。緑地をプランテーション化したことで労働搾取されるようになった人々は、貧しくなる一方だった。学業を修めた後、故郷に戻ったマータイさんは現状を嘆き、なんとか緑豊かなケニヤを取り戻そうと植樹を始める。
 絵本には、自然に囲まれ自給自足の生活で幸せに暮らす人々と、資本主義の下、お金で豊かになろうとする人々の両者の価値観が描かれている。お金があれば幸せになれるのか。お金があっても豊かでない人々はたくさんいると思うけれど。
 世界がこれだけ狭くなった今、教育の盾がなければ資本の弱肉強食は開発途上国をどんどん蝕んでいく。お金で豊かさは買えない真実を知っていたマータイさんは、コミュニティからアフリカ全土に向けてグリーン・ベルト・ムーブメントと名づけた植林運動を進めていった。
 日本語「モッタイナイ」の意味に感銘し、風呂敷促進に関わった方と耳にしていたが、彼女の、政府をも動かす緑化運動に至る具体的な経緯はまったく知らずにいた。一人の女性が、女性だからこその視点で昔のアフリカを取り戻そうとした姿を知り、胸がいっぱいに。娘といっしょに読んだのだけれど、何度も彼女に代読してもらった。
 環境保全を基点にアフリカを救おうとした強い意志と情熱に、心から敬意を表したい。(asukab)
amazon:Claire A. Nivola

Planting the Trees of Kenya: The Story of Wangari Maathai (Frances Foster Books)

Planting the Trees of Kenya: The Story of Wangari Maathai (Frances Foster Books)

 風呂敷のことがよく言及されるので、再びid:ie-ha-te-naさんにも。