Lady Liberty: A Biography

 『Lady Liberty: A Biography』は、壮大な構想の下に生まれた一大歴史ノンフィクション絵本。20年間にわたり自由の女神建造に関わった20万人にも上るアメリカ人、フランス人の働きを、異なる分野からの人々が語る。冒頭は現在。ラトビア移民として米国にわたった祖母を回顧しながら、作者自身が自由の女神を見上げている見開き。次に1865年、フランス人法学教授が米国への友情の証として女神像を贈る案を語る場面へと移る。こうして見開きごとに、彫刻家、技術者、アシスタント、詩人、現場労働者、出版者、建造援助募金をした少女etc.……時代を盛り上げた人々の回想が始まっていく。
 自由の女神はヨーロッパしか向いていないとときに非難されるが、戦禍を逃れた人々を受け入れる米国の姿勢は今も変わらないのだから、事実は事実として認めるべきだろう。国家賛美にもつながらなくはないので、その点、100%受け入れ難い感情も残るけれど。それより何よりわたしはまず、当時の新聞、手紙など資料をかき集め、無謀とも思える「自由の女神伝記」を執筆しようとした発想と実際に書き上げた精力に脱帽だった。
 高学年のクラスプロジェクトとして取り組むとおもしろそう。各自が関わった人々についてリポートし、最後に教室に大きなレディ・リバティを飾るというアイデアなのだけど、アジア系移民には実感が湧かないかもしれないな。(asukab)
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Lady Liberty: A Biography

Lady Liberty: A Biography