The House in the Night
『The House in the Night』の表紙で思い出したのが、ワンダ・ガアグの一連作品。この絵本では浮かび上がる光の白と闇に沈む黒を背景に、静かな夜が歌い出す。
始まりは、ひとつの鍵。中表紙には序章として金色の鍵が示され、絵本の中の絵本が開かれている。鍵を受け取った子どもは日暮れを迎え、部屋に戻り絵本を開く。そしてその夜ひっそりと、そこにたたずむ夢の世界へと羽ばたくのだった。
ゆっくり一ページごとに連なる時間がやさしい。光と影が読者をも甘く包み込み、夜空のファンタジーに誘っている。魔法の原因は何だろう。一つの言葉が次ページの光景を、一本の糸をつたうように導き出す間合いだろうか。作者が幼少時、マザーグースの童謡『Oxford Nursery Rhyme Book』で親しんだという言葉遊びは、子どもの一夜を夢見心地に描き切る。
イラストは、スクラッチボードによる白黒と卵の黄身色を想起させる黄の水彩着色のみ。シンプルな言葉の流れに情景が深く溶け込み、地味ではあるのだけれど、心に残る一冊になった。
ちなみに元となったマザーグースの詩は、こちら。
This is the key of the kingdom:
In that kingdom is a city,
In that city is a town,
In that town there is a street.....
子どもはパターンの連続性に魅せられて、詩のリズムに引き込まれていく。(asukab)
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- 作者: Susan Marie Swanson,Beth Krommes
- 出版社/メーカー: HMH Books for Young Readers
- 発売日: 2008/05/05
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