Naked Mole Rat Gets Dressed いろいろあるのが一番じゃ〜を讃歌する絵本

 モーさんの新作『Naked Mole Rat Gets Dressed』は、裸んぼうが当たり前のハダカデバネズミ社会で、たった1匹洋服を着たがるネズミの葛藤を描く絵本。モノカルチャーの規範、あるいはイデオロギー的政治体制を皮肉っているのか。この手のテーマは、いかにも米国的であり、同時に少々時代遅れではないかと感じたけれど、お話はいつもながら笑えておもしろい。
 結局最後にコミュニティーの長老が登場して、「いろいろあるのが一番じゃ」みたいなメッセージを送り、みんなウィン−ウィンのハッピーエンドとなる。まあ、その過程の成り行きを現実社会に当てはめ吟味するのが、本作品の醍醐味か。
 新しい発想を理解しようとしない石頭のネズミ衆は古今東西、どこの社会にも存在するのだろう。彼らの喋りっぷりが典型的で、なかなか様になっていた。長老ハダカデバネズミのキャラクターも愉快。
amazon:Mo Willems

Naked Mole Rat Gets Dressed

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