Spuds ジャガイモ

 『Spuds』――これは貧しい時代のお話。たぶん、大恐慌の頃。ケニーさんちのジャガイモ畑は大豊作。掘ってあげないといずれ腐ってしまうと読んだ姉のメイベルは、弟のジャックと小さなエディを誘い夜の畑に忍び寄る。ほっかほかのふかし芋を想像しながら。でも、これは自分たちが食べたいからと決行した計画ではない。働きに出ている母親を喜ばせたい一心の、苦心の末の勇断でもあった。
 南部英語の語りが、心情をあたたかく伝える絵本である。セピア色がかった懐古調の色彩と合わせて、当時の人々の暮らしぶりが情感豊かに描かれる。
 貧しくも心を寄せ合いながら懸命に生きた時代――。昔を知る人にはたまらなく胸に染み入る一冊だろう。
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Spuds

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