Duck Tents テント暮らしは乙なもの

 「夏休みはどんな楽しいことをしているの?」と尋ねられ、答えに窮していた娘に助け舟を出した。「お庭にテント張って、楽しんでいるよね」――。先月下旬から熱波に襲われ、記録的な猛暑を記録した当地。夜は家の中より外のほうがずっと涼しいので、テントの一夜は過ごしやすい。日向に張ったので、さすがに日中は気温が上がり中には入らないけれど、猛暑に襲われる前はごろ寝の読書に最適で、娘は友だちといっしょにぬいぐるみなどを持ち込んで本を読んでいた。裏庭のテントは夏の恰好の隠れ家になり、自分の部屋とはまた異なる親密な居場所になるのである。
 そんな折に偶然"Duck Tents"を読み、5羽のあひるたちのアウトドア・ライフを楽しませてもらった。表紙の焼きマシュマロの光景が、すでにキャンプの魅力を伝えてくれる。ホームレスの人々の野宿をいつも目にしているから、「キャンプ」の意味が娯楽なのか生活なのか、揺らいでくるわけでもあるのだけど。
 一般に言う開拓時代やゴールドラッシュの頃は、その日暮らしで西部を放浪する人々が多かった。今につながるアウトドアへの親しみは、気ままでかつ厳しい生き様の必然からのぞく喜びでもあったことを思うと、自分の現在がどうなのか、またわからなくなってくる。
 何はともあれ、5羽のあひるちゃんシリーズ、なかなか愉快にまとまっている。
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