思い出

手帖

小学生のころ、親友のおかあさんが「暮しの手帖」という生活雑誌を講読していた。彼女の家にはこの雑誌がきちんと数字の順に本棚に並んでいて、遊びに行くたび本棚の周りに漂う整然とした雰囲気に心がしんと落ち着いたものだった。暮らしの手帖――手書きのよ…

先輩、灰谷健次郎さん

人生を振り返るとき、その後の歩みに影響を及ぼす決定的な出会いというのが必ずある。わたしの場合、最初の出会いは大学時代にあった。それまで自分だけの世界で生きてきた価値観に、そうでない世界を見せてくれた四年間は、自己破壊と再生を体験できた貴重…

渡辺茂男さんの絵本

id:yamada5さんのブログで本日(二十六日)、訃報を知った。 渡辺さんの作品には、息子といっしょに絵本を読み始めて出会った。それは「この作品も、あの作品も、この訳者さんだったのだ!」という発見の連続で、なじみのある表紙がガーランドのように連なっ…