なぜか気になる、ほわほわ家族

 うちにある『Little Fur Family Board Book』(邦訳『ちっちゃなほわほわかぞく』)は、本自体がこげ茶色のふわふわした毛に覆われている。化粧箱がしゃれていて、おなかの部分からふわふわの毛が触れるようになっていた。わたしはこの「ふわふわ」の肌触りにまいってしまい何かの機会に娘へのプレゼントにしたのだけれど、それ以来、娘もこの「ふわふわ」にまいっている。ぬいぐるみみたいだものね。でも外側だけでなく、実は中身もふわふわ、ほわほわしていて、何だかとても不思議な作品なのだ。(邦訳が出ていて驚いた。しかも谷川俊太郎さんの訳。わたしはこちらはまだ手にしていないけれど、きっと原書同様にほわほわした感じなのだろう。)
 お話は、毛むくじゃらのくまさん一家の一日を追っただけというシンプルなもの。暖かそうなコートを着た一家が冒頭に登場するので冬のお話かと思ったら、まわりにはなぜか青々と緑が生い茂り、花まで咲いている。川で魚をすくう場面など、みずみずしくてこれは夏とさえ思える。確か家の中ではストーブの上でやかんが湯気を吹いていたけれど……。なんだか、不思議な設定だ。究めつけは最後に出てくるちっちゃなふわふわ、ほわほわした動物!? これはファンタジー
 子どもには、始めから終りまで、とりとめのない心地よさが魅力なのだろう。最後の子守歌には安らぎがいっぱいだもの。くま坊やの寝顔が幸せのすべてを物語っていて、読んでいるわたしまで心地いい。さすが子どもを知り尽くしていたブラウンさんの作品。この絵本は体裁がそうだからか、絵本棚には収まらずいつもぬいぐるみといっしょに並んでいる。昨日は、「お仕事に持っていっていいよ」と娘から勧められ、そのまま職場に持参となった。(asukab)
 

Little Fur Family Board Book

Little Fur Family Board Book