ワニさんと歯医者さんのかけあいシンクロ漫才

 この絵本は、こちらの幼稚園・小学校教案集の雑誌を眺めていたとき、英語版『The Crocodile & the Dentist』で見たのが初めての出会いだった。絵を見て即座に、あ、五味太郎の絵本。その雑誌の特集では歯の単元を学ぶ目的でこの絵本を紹介し、授業案、工作案、教材のコピー用プリントなどに大々的にページを割いていた。すごいなあ。それでさっそく原書『わにさんどきっ はいしゃさんどきっ (五味太郎の絵本)』を注文し、天才的なシンクロの発想に驚嘆し、愉快な展開に笑い転げてしまった。確かに「ワニ」という動物が、「歯」を印象付けるのにぴったりだ。
 とにかく楽しい。ワニさんと歯医者さんが同じことを言っているのに、ちゃんと話が進んでいく。簡単な日本語なので主人も読みたがり、声質を変えて読むと、とんでもなく盛り上がる。 
 ただ、わたしはタバコのイラストが気になってしまったのだけれど、これも五味さんらしさなんだろう。米国に長く住んでいると、「社会的に子どもの成長に害を加えるもの」に対する意識が強くなり、とっさに反応してしまう。日本側から見たら、過剰反応と映るんだろうなあ。でも、これが一応米国側の親の反応なのだ。少なくとも、子どもの教育に携わる人たちの間では。(asukab)

わにさんどきっ はいしゃさんどきっ (五味太郎の絵本)

わにさんどきっ はいしゃさんどきっ (五味太郎の絵本)