小さな子どもたちに

 小さな子ども向けの『おはよう・おやすみ』は2冊の絵本がひとつになった逆さま絵本。表紙から「おはよう」、裏表紙から「おやすみ」の様子が動物たちの生活を通して描かれる。「おはよう」のほうは、元気なオレンジ色の表紙がネコちゃんの朝をお出迎え。裏表紙では静かな青い「おやすみ」の背景になり、うさぎさんがすうすう寝息を立てている。
 初めてこの絵本を目にしたとき、わたしは母の作ってくれた枕カバーを思い出した。これは表がお日さまの刺繍でお昼寝用、裏がお月さまの刺繍で夜用というもの。ひっくり返して、別の世界に入り込む――子どもって、こういう単純なトリックに弱いので、もちろんこれはわたしのお気に入りだった。一瞬の変化は、逆さま絵本の醍醐味にも通じているなあ。 
 イラストがわたしの好きな画家(しかも、ゾロトウとのコンビ)だったので、邦訳が出ていると知り、すぐに注文した。英語の押韻を反映させた邦訳は、リズムがあって生き生きしている。でも、もう少し娘が小さな頃に読んであげた方がよかったかな。くま、ねこ、うさぎたちの朝と夜の一こまが描かれているので、生活の流れを覚え始める年頃が最適だった。米国には逆さま絵本がたくさんあるので、いつか特集組んで紹介してみようかな……とも思う。(asukab)

おはよう・おやすみ

おはよう・おやすみ