小さな子どもたちと大きな子どもたちに

 おとといの夜、子どもたちと読んだ『光の旅 かげの旅 (絵本の部屋―しかけ絵本の本棚)』は、本格的なアートの視点から描かれた白黒の逆さま絵本だ。イラストレーター、アン・ジョナスの力量にうなってしまった絵本でもある。(彼女の『あたらしいおふとん (あかねせかいの本)』は息子の幼少期を語る思い出の一冊。これは、また後ほど……。)
 イラストは、旅の途中、車窓から見える風景、街中の様子などを、一瞬一瞬シャッターを切る感覚で収めた、一見切り絵のようなシャープなグラフィックアートだ。表紙をそのまま読む行き(昼間の旅)と、ひっくり返して読む帰り(夜の旅)とで風景が違うのには、「わあ〜、すごい」と、ただただ感嘆。すがすがしい農場の風景、花畑、花火、星空が出てくるので夏の旅行なんだろう。渋めの邦訳と黒と白の世界がほどよく調和していて、絵も言葉もシンプルなだけに味わい深いなと思った。予想通り、子どもたちは、座る位置を変え、あっちから、こっちから、興奮気味にページを眺めることに。アート好きな中高生にも受けそうな感じかな。ただ表紙にも見られるように、同じページに逆さまになった文章が入るので、これがうるさいと感じる人はいるかもしれないけれど。
 こういう言葉の簡潔な作品は日本語で読むとまた違った世界が広がるので、邦訳版を手に入れてよかった。(asukab)

Round Trip

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