四季の絵本手帖『うさぎのマシュマロ』

うさぎの マシュマロ (講談社の翻訳絵本)

うさぎの マシュマロ (講談社の翻訳絵本)

 家政婦のティリーさんの家に住む猫のオリバーは、他の動物といっしょに暮らしたことがありません。毎日の生活は、すべてティリーさんまかせです。そんなある日、ふわふわの白い赤ちゃんうさぎマシュマロがやってきました。何しろ他の動物を見るのは初めてでしたから、ティリーはマシュマロが怖くて仕方ありません。一方、マシュマロは何も音を立てず、静かに座っているだけでした。
 こうして始まったティリーとマシュマロの生活は、日を追うごとに変化が見られるようになります。うさぎに興味を抱き始めるオリバーを気に留めもせず、マシュマロはぴょんぴょんと飛び跳ね、部屋の中で遊びました。子どもは動物が大好きなので、特にマシュマロの行動には興味が尽きないことでしょう。体を丸くして眠るマシュマロ、クッション、リボン、ぬいぐるみと何でもかじるマシュマロ、無邪気に跳ね回るマシュマロ……、オリバーと同じような好奇心を抱きながら柔らかなマシュマロを見守り続けます。
 最初は居心地の悪そうなしぐさを見せたオリバーですが、しばらくマシュマロといっしょに暮らすと2匹は仲良しになっていきます。事実を基に描かれたお話だからこそ、猫と赤ちゃんうさぎの交わりは、子どもの心に温もりとなって残るのでしょう。デッサンのような素朴なイラストが、安らぎに包まれた2匹の愛情を優しく描いています。(asukab)