粉と奮闘、あま〜いにおいがたまらない

 娘から久々に『しろくまちゃんのほっとけーき (こぐまちゃんえほん)』のリクエストがあった。まだ日本語しか話していなかった頃、大好きだった絵本だ。小さい子って、1つか2つ、すべて暗唱してしまう絵本があると思うけれど、娘のはこのしろくまちゃんだった。ページをめくりながら、うれしそうに唱えていたなあ。遊んでいるときも、よくぺちゃくちゃと言っていた。英語しか話さなくなってしまった今となっては、宝物のような、ちょっぴり寂しくもある思い出である。
 あらためて思うけれど、子どもと食べ物の関係は親密である。大人だってそうだが、子どもは食べて大きくなることが仕事でもあるから。しろくまちゃんのお話は、すべて最初から、粉から作るところが大きな魅力。卵をわって、まぜて、こねて……まっしろけになって奮闘する姿は、子ども時代の象徴だ。ホットケーキを焼く見開きは、おいしさの博覧会といった感じ。いいよね、この食感をそそる音、匂い、温もり、柔らかさ。子どもの幸せがいっぱい詰まったページである。
 偶然にも、料理好きの息子がちょうど今、バナナ+にんじんマフィンを焼いてくれている。料理させておくと静かになるので、彼の退屈しのぎには持ってこい!というところかな。食べるだけでなく、作るほうでも食べ物の魔法は発揮されるんだ。……「何もさせてもらえない……」とアシスタント役の娘が膨れてしまった。(asukab)

しろくまちゃんのほっとけーき (こぐまちゃんえほん)

しろくまちゃんのほっとけーき (こぐまちゃんえほん)