楽しいおだんご作り

 娘に小麦粉粘土を作ってあげると本物が食べたいということになり、おだんご作りが始まった。おだんごといっても、うちの場合はすいとんのこと。小麦粉、ブラウンシュガー、塩に水を加え、こねる。もちろん話題に上がるのは『おだんごぱん (日本傑作絵本シリーズ)』。「あれはパンだねえ、これはおだんごだよ」と娘はこねながら得意げに教えてくれた。歌もある。作中の歌ではなくてうちのオリジナルなのだが、これを歌って子どもに囲まれていると家庭っていいなあとしみじみしてしまう。
 粉料理って、わたしは大好きだ。料理自体は得意とはいえないけれど、粉の感触やこねるときのリズムが自分の体温とぴったりと合い心地いいのである。息子も加わり生地を丸く平たく伸ばして、ぐらぐらと煮立つ鍋の中にポトンと落とす。固まったら引き上げて、あつあつのところに甘味噌のたれをかけて「いただきま〜す」。(たれにもブラウンシュガーを使う。これはドレッシングを作ったときに、白糖よりもずっとこくのある味わいになることを発見したから。料理通の間では、当たり前のことなのかもしれないけれど。)
 絵本のおだんごぱんは、あの表情がなんともいえない個性になっていて、子ども心にも魅力的だったなあ。大人になって読み返してみると、絵本全体を包む淡くてくすんだイラストの色合いが人々の郷愁を誘う秘密だったことに気づく。おだんごぱんは、一体どんな味なのだろう。その問いを巡らせると、今でも思わず生つばを飲み込んでしまう。ごしごし粉箱をこすって集めた小麦粉で焼いたところが特別なのだ。この「ごしごし」の力のこもった感じは、今でもよく思い出す。
 おだんごには食べることと、生きることと、子どもといっしょの喜びがそのまま詰まっている。おだんご作りができることに感謝。(asukab)

おだんごぱん (日本傑作絵本シリーズ)

おだんごぱん (日本傑作絵本シリーズ)