子どもと豆の木

 春先にまいたブッシュ・ピーズの収穫期を迎えた。さやが硬くなり、表面がぼこぼこし始めた今が摘みどき。お天気続きだったので、気づかないうちに随分成長していた。大人の指以上に太く大きくなったさやは結構分厚く頑丈である。子どもはナイフを使わないと開けられないので、ぷちんとちぎるとみなわたしのところに持ってきた。こうして分業制で、ほんの数十分の収穫を楽しむ。「全部取っちゃって」とダディに言われたこともあり、娘は大張り切りで摘んでは戻り、摘んでは戻りの繰り返し。わたしがつるに行って見ると、緑の葉って格好の隠れ場所なんだなあ、カモフラージュして取り残されていたさやがまだまだあった。
 豆ご飯2回分くらいの分量だろうか。ころころとボウルの中で転がる豆を見て、娘が絵本『ぜったいたべないからね (ほんやくえほん)』を引っ張り出してきた。ページを開き、お目当てのイラストを見つけると「ママ、これと同じ〜」。そうそう、この顔のついたグリーンピースは最高に笑えるよね。自分も黒ペンで豆に顔を書きたいと言っていた。
 この絵本には、好き嫌いの激しい妹ローラを野菜好きに変えてしまった兄チャーリーの苦心が描かれる。むりやり食べさせるのではなく、誘導尋問して自然に興味を持たせてしまった話術がおもしろい。娘は実写コピーのコラージュが大好きだ。今風の弾けるイメージで野菜など食べ物が登場するので、ぐぐ〜んと興味が湧くみたい。前述の豆の顔もおとぼけ風味たっぷりである。(……でも、わたしは邦訳の非普遍的な(?)表現や名称がちょっと自分の感性には合わないなと感じている。ローレン・チャイルドだから、たぶん英語がそうなんだと思うけれど。)
 こうして、この夜は豆ご飯。豆が柔らかくなってしまった以外、味付けはまあまあ。2回目は反省点を生かそう。豆の木は、うれしいひとときをプレゼントしてくれた。次の収穫はトマト。(asukab)

ぜったいたべないからね (ほんやくえほん)

ぜったいたべないからね (ほんやくえほん)