粉料理の絵本3部作 ティー・ビスケット作りとおだんごぱん

 家族が帰ってきて、ティー・ビスケット作りをすでに2度。のべ35匹のくまを焼いただろうか。当然読む絵本は『Biscuit Bear*1になった。何度開いても笑えちゃうなあ。ホーラスとビスケット・ベアの表情がすごくいいのだ。いつかサーカスが来たら、絶対娘を連れて行ってあげよう。彼女はサーカスって何なのか、多分わかっていない。
 それにしても、生地作りって楽しいな。まず粉のさらさらした感触だけで、わたしも娘も落ち着いてしまう。生地といえば何と言っても『おだんごぱん (日本傑作絵本シリーズ)*2だが、このタイトルほど謎めきながら魅了する響きはないんじゃないか(って、前に書いたかな。)おだんごパンとは一体どのようなパンなのか、題名からすでに引きこまれてしまう。この絵本について、しっかり書いていただろうか。書いていないと思うので、ここに記しておこう。
 おじいさんとおばあさんが粉箱をゴシゴシこすって集めた小麦粉で焼かれたのが、なんともにくめない顔をしたおだんごぱん。「食べられたりするものか」という反骨精神で家を飛び出し、途中うさぎ、おおかみ、くま、きつねに遭遇する。動物たちはもちろん、パンを食べたい衝動にかられるけれど、危機に直面するたびにおたんごパンは自分の心情を歌で打ちあけ、相手のすきをついて巧みに逃れていく。この歌は調子に抑揚があり内容も愉快なので、独自の節をつけると楽しく読み進められる。とくに「クリームたっぷりまぜて、バターでやいて」のくだりは芳ばしいパンのにおいが漂ってくるようで、子どもも食感を連想しながら耳を傾けるに違いない。このおいしさであれば、食べたい一心で話しかけてくる動物たちにも十分共感できるというものだ。セピア色の色調に包まれた水彩画は、おだんごパンの生きざまの哀愁を漂わせ、作品全体に深い味わいを提供している。
 粉料理のテーマ絵本は、クッキーがビスケット・ベア(……邦訳が出て欲しいなあ……)、もちもち系のおだんごがおだんごぱん、そしてパンになるとエリサ・クレヴェンの1冊『おひさまパン』に決まり。(このご紹介は、パンを焼くときに……。)粉料理の絵本3部作というところかな。(asukab)

  • クッキー作り

Biscuit Bear

Biscuit Bear

  • おだんご作り(書影なし)
  • パン作り

おひさまパン

おひさまパン