夏のひそかな楽しみとなる絵本#10 風に吹かれてお昼寝の絵本

 金曜日、久しぶりに義母に会いに行く。フライド・チキン、フルーツ・サラダ、ロールパン、りんごジュース、デザートにレモン・バー……の簡単な食事を持ち合って近くの公園でピクニック。木漏れ日の下、心地よい風の渡る中でおいしい昼食になった。野外で食べる食事って食が進む。娘は遊ぶことに夢中でチキンのドラム・スティック1本しか食べなかった。
 公園に来ている子どもたちは、それはそれは国際的。中国系、ベトナム系、東欧ロシア系、インド系、日系、あとは西欧系のアメリカ人。交わされる会話はいろんな言語で聞こえてきたが、「あぶない!」とか「だめだめ」とか、子どもを見ているお母さんたちの言うことだから何となく意味は理解できた。
 帰りは義母のコンドミニアムに寄り、一休み。シニア専用住宅なので、建物に一歩足を踏み入れただけで、何だか時間の流れ方が2倍、3倍に伸びたよう。すべてがゆっくりに感じられる。静かな部屋で涼やかな風に吹かれていたら、思わず睡魔に襲われた。これはここに来るといつも生じることなので、条件反射的な体の反応かもしれない。それも、わたしだけじゃなくて、家族みんなが眠くなるのである。
 『しーっ!ぼうやがおひるねしているの』は、タイの小さな農村でのお昼寝風景を絵本にした作品。お母さんが坊やを寝かしつけようとすると、動物たちの声や音が聞こえてくる。そのたびにお母さんは「しーっ!」と注意を促すのだが、あちこちから、やもり、ねずみ、蛙、ぶた……のいろいろな鳴き声が。音はタイ語で表現されるので、とても興味深い。「トッケー、トッケー」「オプオップ、オプオップ」「ウーット、ウーット」「チアッ、チアッ」……など珍しくて、娘も息子も大好きだった。坊やの姿にも注目。
 このときいっしょに描かれるのが、のんびりとした村の様子。素朴な色合いの紙による切り絵が、ゆっくりと流れる時間を上手に伝えてくれる。土地の風土は服装、編まれた敷物や水瓶などにも表れて、いつの間にか心がゆったりしている。リラックスできる環境っていいなと、ときどきインテリア雑誌の代わりとして開くこともある。
 こういうお昼寝は、夏独自。だからこそ今楽しみたいお昼寝絵本である。(アマゾンでは書名が間違っていて、正しくは『しーっ! ぼうやがおひるねしているの』。)(asukab)

しーっ!ぼうやがおひるねしているの

しーっ!ぼうやがおひるねしているの