こんなに愛されているんだ『Who Loves Me?』

 『Who Loves Me?』で基調となる色は、月の光を象徴するふわっとしたオレンジ&ピーチ色。やさしい光に包まれながら、小さな女の子がベッドに横たわり、トラ猫と会話を始める。
 たとえわかりきっていることでも、子どもには誰かからいつも聞き続けていたい言葉がある。「あなたが大好きよ」というラインだ。この女の子も、誰が自分を大切に思ってくれているのか猫に確かめている。「きみのために庭に白百合を植えたお母さん」「きみのために青い屋根の小屋を建ててくれたお父さん」……と、猫は女の子の家族、親戚、友だち、みんなが女の子を大好きなことを話す。うれしいだろうなあ、こういうささやきを枕元で聞くことって。誰かから愛される実感は、人間の最高の喜びだものね。ふんわりとした月光の描かれ方と色調が何とも心地よくて、ページを開いているこちらにも、その安らぎは十分に伝わってくる。こういう正統派の文章には、イラストはデフォルメを控えるほうが適するのでは……とは、個人的な第一印象だったけれど。
 これだけいろいろしてもらえるとは、彼女は幸せな子どもである。だから、そういう状況にない子どもたちにとって楽しめる絵本なのか、少し懐疑的になった。すべての子どもたちに、この安らぎが伝わりますように。何が起ころうとも、どんな状況下でも、子どもにはこの安らぎと温もりが必要で、それを与えるのが大人の役割である。ハリケーンの被害を目の当たりにして、感情が高ぶってしまった。(asukab)

Who Loves Me?

Who Loves Me?