ジャズの街、ニューオリンズに寄せて『Hot Jazz Special』

 昨日はB.B.キング80歳の誕生日。昨日、今日と週末のリズム&ブルース・ラジオ番組は特集を組んでいた。彼自身やサンタナ、クラプトンなど影響を受けたミュージシャンのインタビューを含め、興味深い逸話がたくさん聞けた。主人とは米国南部文化について話す。ニューオリンズは米国の中でも、米国らしくない土地柄なのだそうだ。カリビアン文化と旧仏植民地という特異性がその理由。その結果、音楽や独特の食文化で栄えた洒脱な街になった。そんな特別な街なのに……、復興は可能なのだろうか。
 『Bebop Express*1といっしょに注目したジャズ絵本が、『Hot Jazz Special』である。前者がジャズの音楽性を(擬音語で)子どもにわかりやすく体験してもらう絵本としたら、こちらは有名なジャズ・ミュージシャンを洒落たイラストで紹介する少々年齢の高い子ども向けの絵本といえる。学校のジャズバンドに所属する中学生や高校生には特にいい。
 ボディ&ソウル・カフェで働く少年ヘンリーが、閉店後、店内清掃をしながら9人のミュージシャンについて「ドゥーワップ〜」のリズムで歌う。誰かが目の前で歌ってくれたら、いかすだろうなあ。まさに、ショー・ビジネスの世界だ。登場するのは、Jelly Roll Morton, Louis Armstrong, Django Reinhardt, Walter Page, Gene Krupa, Benny Goodman, Duke Ellington, Billie Holiday, Charilie Parker――。この歌はイラスト内に手書きで描かれるので、実際読む側にしてみるとちょっと読みにくい。などと感じていたら、そんなことは作者もとっくに承知で巻末にすべての詩が掲載されていた。言葉を味わうのなら、断然こちらを読んだほうがいい。イラストは、くすんだ赤、青、黄が基調。ネオンサインやストライプ、水玉、音符が文字といっしょにページの中で踊っている。華やかな米国ジャズワールドは、それは賑やかだ。どちらかというと表紙の印象から50年代のイメージかな。ミュージシャンたちの経歴が最後に収録されているから、一読すればちょっとしたジャズ通になれそうだ。それぞれお薦めが1、2曲紹介されている点も高く評価したい。(asukab)

Hot Jazz Special

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