動物のぐるぐる話『Wait! I want to tell you a story』

 新学期が始まって以来、英語の絵本ばかり。日本語は、『おしゃまなリリーとおしゃれなバッグ*1しか読んでいない。日常でもわたしが日本語で話しかけ彼女が英語で答えるという、たぶん移民家庭ではよくあるパターンに陥っている。まあ、日本語教育に気合いの入らない親を持つのだから、これも自然の成り行きである。かと言って、英語の方で熱心かと言えば、ぜ〜んぜん。子どもの将来を憂うべきか。絵本だけは(親が好きなので)いっしょに読んでいるけれど。
 そんな娘が自分から進んで読んでくれた絵本が『Wait! I Want to Tell You a Story』だ。これ、キャンプ・ファイヤーなどでよく聞くぐるぐる話を絵本にしたもので、すごく愉快。トラに食べられそうになったねずみ(Muskrat)が、「まって! おもしろい話があるんだよ」と、作り話を聞かせる。話の中には自分と同じように食べられそうになった動物が登場し、その動物も同じように「まって! おもしろい話があるんだよ」と話し始める。その話の中でも同じように、食べられそうになった動物が「まって! おもしろい話があるんだよ」と話し始め……。ぐるぐる話の結末はどうなるのでしょう〜と読者に期待させる。繰り返しのパターン、愛嬌のあるキャラクター、お話のおもしろさ……は、小さな子どもにはたまらない。読後、娘は「I read by myself!」と笑顔で叫んでいた。助けなしで1人で読めたことがうれしくて、それもお気に入りになった理由なんだろうなあ。おもしろかったよ、読んでくれてどうもありがとう。
 絵本は学習習得段階では初歩と思われがちだが、発音や意味の難しい単語を含む作品が結構多い。(娘の場合、完璧主義者だからひとつでも知らない単語があるとご機嫌斜めになってしまう……。)だから幼稚園や1・2年生の読本には、Easy Readers や I Can Read シリーズなど「初級用読み方の本」が多く使用される。ときに、このような読本は、1人で読めるけれど内容がおもしろくないということで、ローベルのがまくん・かえるくん、ミナリックのくまくん、ドクター・スースなどのシリーズ以外、知られている作品はあまりないように思う。でも、このぐるぐる話の絵本はよかった。彼女は嬉々としてパターンの波に乗りながら読み進めていた。ちょっと落書きのようなイラストも、クスクス笑いたくなる世界に誘うんだろうなあ。(asukab)

Wait! I Want to Tell You a Story

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