赤ちゃんと犬

 主人から毎年よく言われるのは、ハロウィンのコスチュームは直前まで作らないほうがいいよ、ということ。子どもは、友だちの影響で気持ちがころころ変わりやすいからということだった。娘は花の妖精のほかに、うちの愛犬スクーターになりたいとも言っていた。どうやらペット暮らしを体験してみたいらしい。
 『That New Animal』は、赤ちゃんの誕生による生活の変化を2匹の犬の視点で描いた心温まる絵本である。こういう絵本を読むと、娘の気持ちがわからなくもない。タイトルにある「あの新しい動物」とは、犬のファッジファッジとマシュマロが飼い主夫妻に生まれた赤ちゃんを呼ぶ名前である。
 ……ファッジファッジは、あのアタラシイドウブツが好きじゃありません。それは、マシュマロも同じことです。これっぽっちも。……「匂いかいだ?」ファッジファッジがこぼします。「犬の匂いとは違うね」……
 アタラシイドウブツがやってきて以来、誰もボールを投げてくれないし、おなかもかいてくれない。2匹の不満はふくらむけれど、興味があることは確かである。絵本には赤ちゃんを抱っこし、あやす愛情に満ちた夫妻、その傍らに不思議そうにしている黒いファッジファッジと白いマシュマロが描かれる。厚塗りのイラストを見ているだけで、何だかほんわかしてくるのがわかる。色合いも暖色系でやさしい。
 最後に犬たちはどうなるのか? う〜ん、犬を知る人には抱きしめたくなる一冊だと思う。赤ちゃんと犬のいるご家庭へのプレゼントに最適。さっそく3家族を頭に浮かべ、クリスマスギフトにしようかなとリストに入れた。(asukab)

That New Animal

That New Animal