完璧なともだち

 息子から「ねえ、ママって、友だちいないの?」と尋ねられる。「ママの友だちは家族だから、こうちゃんとしおんちゃんとダディ」と答えると不思議そうな顔をしている。「本当にいないの?」と念を押されたので、「いるよ。こうちゃんとしおんちゃんとダディ」と再び応答する。しばらく沈黙した後、息子は「じゃあ、ぼくの友だちはスクーター!」と一言。スクーターとは、我が家の愛犬である。
 アマゾンから届いた絵本に『The Perfect Friend』があったので、さっそく子どもたちと読む。これも『That New Animal*1と同様に、ペットと赤ちゃんの関係を犬の視点で描いた秀作である。犬のアーチーは、赤ちゃん誕生以来誰も遊んでくれないので寂しい想いをしている。……と冒頭のページをめくり、よくある話かなと印象を抱いてしまうのだが侮ることなかれ。ロシア人作家夫妻の実体験から生まれた裏づけと、人道主義ならぬ犬道主義を貫くようなイラストが、この絵本を一味も二味も違う作品に仕立て上げているのだから。まずは、アーチーのおちゃめぶりに注目だ。中ほどまで進んだところで、すでに共感を持ってアーチーの姿を追う自分に気づけるはずである。クリコフの絵は「天井桟敷」のようで、少々毒気のある画風が印象に残っていたけれど、この作品は超現実的ではあるものの家庭の温かさをそのまま描いている。
 ママの友だちねえ……。教会でいっしょに育った友だちが1番なんだけど、彼らとは渡米以来、ご無沙汰である。こちらでも教籍は(米国)聖公会に置いているけれど、子どもたちの週末活動が忙しくなるにつれ礼拝からは遠ざかっているなあ、仕事もあったし。息子が中学生になったから日曜日はしっかり家族で礼拝に出席しようと心を入れ替えたつもりが、今のところC評価ぐらい。でも、人生最後に残るのは自分の慣れ親しんだ環境だから、そのうち教会生活には戻るんだろう。ママの友だちは、そこで出会う人々なんだと思うな。(asukab)

The Perfect Friend

The Perfect Friend

*1:赤ちゃんと犬10月2日