こういうパロディもあり

 『Snow White』を見て「これもあり!」と、その発想に敬意を表したくなった。絵本のタイトルは「白雪姫」。でも白雪姫は人間のお姫さまではなくて、白いうさぎさんなのである。耳は、白雪姫の黒髪のようにちゃんと黒い。明かしてしまうと、継母はペルシャ猫、姫を森に連れて行く役目を仰せつかった狩人はビーグル犬、7人の小人たちは7匹のねずみたち。では、王子さまは? 動物たちはそれぞれの配役にぴったりの性格を持ち合わせている。
 このような動物版がグリムの原作以上に(?)おとぎの世界に引き込んでくれる理由は、何といっても絵の力にある。丁寧でオーセンティックな描かれ方は、おとぎ話にもっとも必要とされる画風じゃないだろうか。ここさえしっかり抑えてあれば、たとえパロディでも清らかな物語が描ける。試作的なのかもしれないが、この絵本はみごとにそれを証明してくれた。こうなると、他のお話も動物版で読みたくなるものだ。
 ただし、子どもには従来の絵本のほうがいいのだろう。お話をよく知っているのなら、動物版も楽しめるけれど。パロディは、それ自体が大人の趣といえる。(asukab)

Snow White

Snow White