笑顔の意味
表紙のタイトル『Terrific (New York Times Best Illustrated Children's Books (Awards))』の意味と主人公の表情が相反しているので、息子が好きそう〜と思い読んでみた。聴衆は久しぶりに、息子、娘、主人の3人。
主人公は、初老のユージーン。幸運にもバミューダ島クルーズ懸賞に当選した彼は、苦虫を噛みつぶしたような顔で「最高だね」と一言。「さぞかしひどい日焼けに悩まされるだろうよ」――皮肉たっぷりに、クルーズへの思いをつぶやいた。ところが、クルーズ船は嵐に襲われる。乗客はみな救助されたのに、ユージーンだけが孤島に取り残された。「最高だね」――「人食い人種にでも、食われちまうんだろうよ」。ユージーンはこの島で1羽のオウムに出会う。さあ、何が起こるか――。
加齢とともに意識し始めたものがある――「顔」。若いときは人の顔になど、これっぽっちも興味がなかった。でも、生きざまって顔に出ていると気づいて以来、人がどんな生き方をしているのか顔から思い巡らすことが多くなった。
さて、笑みのないユージーンの顔。どう見ても、幸せそうに見えない。バーバリー風コートと帽子は、まじめな性格の象徴か。
本書は sarcasm がテーマの作品である。何ごとも斜めから眺めてしまうユージーンと賢いオウムのやりとりが見どころだ。ユージーンのつまらなそうな顔が作品のトーンを生み出し、最終ページのお膳立てをする。聴衆たちの反応から、真に味わえるのは大人かもしれないと思った。
ところで現在、はてなダイアリーではiマックが当たるキャンペーンを実施している。「アップルのiMac G5欲しい!」と日記に書けばよいそう。もし、ユージーンがマックを当てたらどんな一言を残すのだろう。「最高だね」のあとには、どんな表現が続くのか。(asukab)
Terrific (New York Times Best Illustrated Children's Books (Awards))
- 作者: Jon Agee
- 出版社/メーカー: Michael Di Capua Books
- 発売日: 2005/09/01
- メディア: ハードカバー
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