チャトーとノビオ・ボーイ、クルーズに出かける

 金魚模様のアロハをまとい、首にレイ、かたわらにトロピカル・カクテル。サングラスからのぞく笑顔が、「ねえ、君もどう?」とバケーションに誘っている。この表紙に応えて、「うん、凍てつく季節にクルーズなんていいじゃない」と思わず手を伸ばした作品が、猫のチャトー・シリーズ第3弾『Chato Goes Cruisin' (New York Times Best Illustrated Books (Awards))』だった。暗いノースウェストの冬に、南国を描く絵本はよく映えるのだ。
 懸賞に当選し、相棒ノビオ・ボーイと乗り込んだクルーズ船は犬専用。しょっぱなから面食らうチャトーたちだが、人生の機微を学ぶ心持ちで船上暮らしを味わい始める。
 猫と犬――習性の違いは、社会文化性を皮肉るたとえとして絵本でもよく利用される設定。人間社会に置き換えればかなりカラフルにイメージが浮かび上がるから、やはり動物モノっておもしろい。犬の習性に辟易しながらも周りになじんでいくチャトーたちに、学ぶことは多いんじゃないかな。スペイン語混じりの会話、各見開きに挿入されたコミック・ストリップが明るく元気なムードをかもしていて、息子向きだった。
 毎年、冬季をメキシコで過ごす友人がいて、思わず彼女のことを思い出した。厳かな北国のクリスマスもいいけれど、やしの木の下で寝そべる南国ビーチのクリスマスもいいよね。この楽しみは、老後にとっておこう。(asukab)

Chato Goes Cruisin' (New York Times Best Illustrated Books (Awards))

Chato Goes Cruisin' (New York Times Best Illustrated Books (Awards))