素朴な聖夜

 今年出会ったクリスマス絵本の中で、心ひかれた作品がポップアップで聖夜を描く『The Nativity: Six Glorious Pop-up Scenes』。書店で手にして、しっくりくるのがわかった。このアーティストのことはまったく知らなかったので調べてみると、たくさんクリスマス絵本を出している。う〜ん、これは夢中になりそうだ。
 降誕は大切に子どもに伝えたいから、気持ちを汲んだ作品に出会え静かに感動。中世宗教画をほんのり思わせる風格と牧歌的で素朴な作風が、羊飼いたちの遭遇した降誕を慎ましやかに描く。神々し過ぎずで、こういう風合い、わたしは好きだ。地に近い人々が聖夜をお祝いしている雰囲気。羊飼いさん、天使さん、東方の博士さん、みんながヨセフさんとマリアさんをあたたかく囲む。
 立体というのが、またいいんだな。The Nativity=降誕シーンはクリスマス前に飾る象徴的な場面だが、その空間から受ける感覚が絵本の中にすっぽりと入り込み、宇宙的な広がりを与えている。(asukab)

The Nativity: Six Glorious Pop-up Scenes

The Nativity: Six Glorious Pop-up Scenes