十二支のはなし

 民話絵本は絵がものをいうだろうなあ……と思いながら探して引かれた作品が、『十二支のはじまり (てのひらむかしばなし)』だった。こういう版画、父が好きそうだから。どことなく民芸調の素朴で不思議なイメージは、大正・昭和期に目にしたような異国の空気と日本の日常を同時に携えている。画家の他作品を見れば見るほど、動物と版画ってぴったりの相性だなと思う。絵本自体、てのひら絵本シリーズということで小さな子ども向き。でも、だからこそ幼さと懐かしさが調和した、読み手に親密な絵本に仕上がったのかな。
 子どもをだっこして、手のひらに絵本を乗せ、動物たちの繰り広げたお話を語る。お正月の風景にぴったり。(asukab)

十二支のはじまり (てのひらむかしばなし)

十二支のはじまり (てのひらむかしばなし)