日本語で読んでみたかった

 1月第3月曜日はマーティン・ルーサー・キングJr.記念日。PBSでは番組と番組の間に、キング牧師の率いる行進や有名な「I Have a Dream」スピーチを放映していた。彼が導いた公民権運動は米国史に大切な礎を築いた。日常という忘却の中であたりまえのことになっているのかもしれないが、この国に住む限り彼の功績は常に覚えておきたいことだ。今、日本人のわたしがこの国で居心地よく暮らしていけるのも、この歴史のおかげだもの。
 『キング牧師の力づよいことば―マーティン・ルーサー・キングの生涯』(原書『Martin's Big Words』)は、どうしても日本語で読みたかった絵本である。表紙を見せたら娘がクラスで読んだと言って喜んだ。強く、的確にメッセージを伝える美しいコラージュにも興味津々の様子だった。きっと全米中どのクラスでも、この絵本は今日という日を覚えるために読まれたんだろうなあ。
 わたしの場合、日本語で読むと明らかに感じ方が違う。冒頭からすでに熱い涙になってしまうのだ。「白人専用」の標識を見るたびに、「ぼくに なにか、わるいところが あるのかな」と暗い気持ちになるマーティン少年。牧師である父親の導きの言葉や聖書の言葉を聞き、「ぼくも、大きくなったら 人々を勇気づける こんなことばを かたろう」と心に誓うマーティン少年。この部分、親だったら誰だって、子どもにこんな気持ちを体験させる構造は許せないと憤ると同時に、そこから固い決意をした少年の姿勢に胸が熱くなるんじゃないか。幼心に感じ取った気持ちを胸に秘め、キング牧師は生涯を通して大切な仕事をなした。人権とか権利とか、利害がからむとぐちゃぐちゃしてしまうのだが、忘れたくないのは何かどう起きたかということ。
 今週末、小学校でキング牧師をたたえる全校集会があり、娘のクラスは詩の暗唱をするそうだ。ところがさっそく詩の紙を教室に忘れてきて、まだ暗唱できていないのだけれど、大丈夫かな。(asukab)

キング牧師の力づよいことば―マーティン・ルーサー・キングの生涯

キング牧師の力づよいことば―マーティン・ルーサー・キングの生涯

  • 作者: ドリーンラパポート,ブライアンコリアー,Doreen Rappaport,Bryan Collier,もりうちすみこ
  • 出版社/メーカー: 国土社
  • 発売日: 2002/11/01
  • メディア: 大型本
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