めぐる自然

 雨続きの暖冬だったからか、例年に比べて1か月も早くクロッカスが薄紫色の姿を見せた。2月初旬から咲き始めるのは珍しく、うれしい贈り物をいただいた気分。鳥の声も心なしか澄んで聞こえるようになり、春の訪れがにわかに感じられる。なんだか心が弾み、うれしいな。ということで、季節の息吹が感じられるこの時期にちょうどいいかなと思い、娘と『The Story Goes On』を読む。これは、小さな生き物が大きな生き物に食べられる自然のめぐりをやわらかな言葉で歌う詩の絵本。一粒の種から始まって、その葉を虫が食べ、その虫をかえるが食べ、そのかえるをへびが食べ……というありのままが、デフォルメの効いた鮮やかなコラージュで表現される。
 このコラージュが、なかなかかわいい。新聞紙や広告、メモなどの切り抜きに色を重ねて描いているのだけれど、娘が「白い紙がなかったから、新聞を使ったのかな」と真顔でつぶやいたので笑ってしまった。小動物たちが活字の模様をあしらってかわいらしく登場し、彼女はかなり気に入った様子。新しいアートフォームに出会えてよかったね。詩も絵もやさしく語りかけてくれ、春らしくてさわやかな今週末にぴったりの1冊だった。(asukab)

The Story Goes On

The Story Goes On