悪戦苦闘パパの語ったお話は……

 タイトル『Once Upon a Time, the End (Asleep in 60 Seconds)』を目にしたとき、思わず子どもたちの笑顔が浮かんだ。このフレーズ、息子、娘のお気に入りなのだ。娘は今でもおはこのジョークとして得意げに唱えてくれる。こうして興味を持った絵本の内容が、これまたおもしろかった。
 毎晩、パパは愛する娘からたくさんのお話をせがまれる。疲れていてもわが子のリクエストであれば断れない、でも、眠い……。このジレンマを切り抜けるために生まれた業が、お話端折り作戦。このお父さんは童話・童謡を大胆に省略して話し始めた。語られる童話(旧約聖書の話が1つ)は全8話、童謡・なぞなぞは7つ。
 どのように簡略化されたか――ここが笑いの源で、親近感の湧く大人の視点に思わず同情、納得。この手の間テクスト性を楽しむには、当然元の話を味わっていることが重要になる。なので、娘より息子のほうが楽しみそうな感じかな。そう、昔を懐かしむ目で読むと、たちまちユーモアいっぱいのノスタルジーに包まれる。ペン画も発想も、少々大人風味の絵本である。(asukab)

Once Upon a Time, the End (Asleep in 60 Seconds)

Once Upon a Time, the End (Asleep in 60 Seconds)