POETRY Speaks to Children

 『Poetry Speaks To Children (Poetry Speaks Experience)』は、95編の詩が収録された詩集。73人の詩人が自分の詩を朗読するCD付きである。故人に関しては、別の詩人が担当したものもある。わたしが夢中になったのは、ダールとトールキン。それぞれ、過去の録音を再生した自作自演の朗読なのだ。
 ダールの詩は「The Dentist and the Crocodile」。思わず、五味太郎作『わにさんどきっ はいしゃさんどきっ (五味太郎の絵本)』を思い起こす。患者のワニが「奥のほうから見て欲しい」とお願いしても、歯医者さんは躊躇してなかなかリクエストに応えない。この光景をダールのよく通る声が淡々と詠むので、おかしくて仕方がなかった。
 そして、トールキン。「Frodo's Song in Bree」は、『The Lord of the Rings: Trilogy Gift Set』の第1作「The Fellowship of the Ring」に出てくる。マザーグース「Hey didlle dille」に至るまでのドタバタを詠む楽しい内容で、ブリティッシュな抑揚に酔いしれた。
 詩人が自作を朗読する『Poetry Speaks: Hear Great Poets Read Their Work from Tennyson to Plath』は、詩愛好家の間で絶賛された。今回は、その子ども版ということで、こちらも話題になっている。
 日本に詩人が自作の詩を朗読するCDって、あるだろうか。谷川俊太郎さんの朗読を教科書のCDで聞いたことがあるけれど、それ以外は知らない。まして、過去にさかのぼって朗読を収集するなど、ますます困難な作業になる。和歌の文化だからこそ、文明の利器には頼らないという発想なのかな。でも、人の声って心に響くんだなあ。あれば絶対1枚欲しいCDだと思う。(asukab)

Poetry Speaks To Children (Poetry Speaks Experience)

Poetry Speaks To Children (Poetry Speaks Experience)