THE LITTLE ENGINE THAT COULD

 娘の部屋を掃除していたら、おもちゃ箱の中から『The Little Engine That Could: The Complete, Original Edition』が出てきた。懐かしいなあ。息子が誕生したとき、義妹から贈られた一冊だ。絵本に出てくる「I think I can, I think I can.」のフレーズはその後、米国社会のさまざまなところで見聞きして、この作品の時代を超えた影響力に感心したものだった。
 そんなわけで、昨秋新しいイラストで出版され話題になった『The Little Engine That Could』(邦訳『ちびっこきかんしゃだいじょうぶ (にいるぶっくす)』)を読んでみた。イラストと判の大きさが変わっただけで、文章は1930年*1の初版とほぼ同じである。

 チャグ チャグ、パフ パフ、ディン-ドン ディン-ドン。小さな機関車が せんろをガタゴトやってきます。ニコニコうれしいのは、たくさんのすてきなものを はこんでいるから。貨車には、子どもたちへの とっておきのプレゼントが ぎっしり つまれていました。おもちゃ、ぬいぐるみ、キャンディー、くだもの、すべて山の向こうに住む子どもたちへの贈り物です。
 ところが困ったことに、機関車が突然動かなくなってしまいました。そこで、おもちゃのピエロが、向こうからやって来る別の汽車に自分たちの貨車を引いてもらえないか頼んでみました。

 いやだよ、と傲慢に断るのはみな「He」。これって、時代や作者の視点と何か関係あるのだろうか。閑話休題。それにしても、ノスタルジーを失わずに汽車やおもちゃたちの表情が豊かに描かれていて、新版として成功している例じゃないかと思った。とくに、汽車のキャラクターにご注目。ユーモラスな誇張が今風で、オリジナルに比べるとメリハリのついた印象がする。有名な「I think I can, I think I can.(できるよ できる、ぜったい できる)」と「I thought I could, I thought I could.(できたよ できた、できると おもった)」の部分は、今でもよく思い出す。小さかった息子の姿といっしょに。
 この絵本も原書同様、多くの人々に受け入れられるだろう。今度から、出産祝いはこちらにしようと思った。(asukab)
amazon:Loren Long

The Little Engine That Could

The Little Engine That Could

*1:初版のイラストは、ロイス・レンスキーが担当。お話自体は1906年から存在していて、実は作者が誰なのかわかっていないらしい。ずっと原書復刻と思っていたうちの絵本は、1954年版だそうだ。