No More diaper for Ducky! あひるちゃん、おむつは もういらないよ!

 どんと積まれた絵本の山から息子が選び出し、読んでいたのが『No More Diapers for Ducky!』(邦訳『おむつのガーガとおまるのブータ (児童図書館・絵本の部屋)』)。何ゆえに、赤ちゃん絵本? ちょっと笑ってしまったのだが、あひるちゃんとぶたくんのいたいけな姿に吸い寄せられた、ということだろうか。「かわいいでしょ、この絵本」と声をかけたら、はにかみスマイルを浮かべて「うん」。「こうちゃんも、こういう後ろ姿してたよ」。ぶたくんが後ろ向きでおまるに座っている絵を指差すと、「えへへ」と照れ笑いした。
 小さな子どもの絵本は、シンプルに核をつくことがもっとも求められる。無駄のない語りに画家も魅せられたという裏話を知り、適齢の子どもたちはもちろんのこと息子やわたしの心までもとりこにしてしまう理由がわかったような気がした。気持ちのいい赤ちゃん絵本は、経験豊かな人でないと作れないということも。 
 実はこのあひるちゃんとぶたくんは、おかあさんといっしょでなく、ひとりで暮らしている。トイレ・トレーニングをする両者が自立した――ような――生活を送っているとは、こっけいな設定と受け取れるだろう。でも、子どもにしてみれば、小さな存在が成長した者として描かれるところに満ちたりた誇りを感じるはず。だからこそ、あひるちゃんのように、自分から「おむつは もう いらないよ!」と宣言する前向きな気持ちになれるのだ。(asukab)
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No More Diapers for Ducky!

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