Henny Penny めんどりペニー ペニーが語ったお話

 色づいた樫の木にどんぐりがいっぱい――。秋の色彩に惹かれて読んだ『Henny Penny』は、お話よりもどちらかといえば絵の楽しさに魅せられた。
 どんぐりが頭に落ちただけなのに、「空が落ちてくる!」と勘違いしためんどりのペニー。これは、天災地変! 王さまに知らせなくちゃと急ぐ途中で出会うあひるのダッキー、おんどりのロッキー、がちょうのルーシー、しちめんちょうのラーキー、そしてきつねのロキシーは、みんな民話として知られる顔ぶれで役割も同じだった。「ペニーの語ったお話」として異なるのは、結末である。おとぼけな鳥たちの行動、その集団を一のみしたくてしかたのないきつね。ペニー版は両者の知恵比べに焦点を定めたいのだろうが、わたしは兎にも角にも温もりに包まれたパステル画にほっこりしていた。秋色を使うと、こういう温かさがでるんだなあ、と。羽や骨の散らばったきつねの部屋がおかしくて、娘とあちこち指ばかりさしていた。
 動物のおとぼけ話って、説明しがたい魅力を放つ。ぞろぞろと集団で行動する鳥さんたちが、最後にどんぐりケーキでお茶にする姿がかわいかった。(asukab)
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  • ずっと掃除用のふきんを持ち歩いていたペニー。これが伏線に……

Henny Penny

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