ANDY WARHOL: POP ART PAINTER ポップアート画家 アンディ・ウォーホール

 アンディ・ウォーホールといえば、キャンベルのスープ缶、コカ・コーラマリリン・モンローが真っ先に頭に浮かぶ。ついで、コマーシャルアートの旗手は奇妙ないでたちで、さぞかしニューヨークライフを謳歌したことだろう、みたいな人工的なイメージばかりがまとわりついていた。伝記絵本『Andy Warhol: Pop Art Painter』を読むまでは。東欧スロバキアからの移民だったこと、貧しい幼少期を過ごし苦学して美大を卒業したこと、画家として希代の才能を持っていたこと――これらはみな、本書を読んで知ったことだった。
 大学卒業後、ピッツバーグからニューヨークに出てきて初めて手にした仕事が高級ファッション誌「Glamour」九月号用、靴のイラストレーション。ここから彼のキャリアが花開く。アーティストとしての礎となる、この頃の作品を見るのは楽しい。毛筆の使い方が、日本画に見えるような気もしたり。後に登場するシルクスクリーンによる広告用アートもすてきだが、なんといっても彼の魅力は手描き作品だ。とくにニューヨーク初期時代と美大時代の絵。ウォーホールというイメージとは程遠い、きらきらした原石の魅力に包まれる。線が確かなので、現物コピー、イメージを売りにするアートより、肉筆画でも充分に生きていける画家だったのだ。
 文章が小学生用に書かれているのでときにエピソードや情報の羅列になるが、彼の作品を眺めるだけでもアートを堪能できる絵本だと思う。(asukab)
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Andy Warhol: Pop Art Painter

Andy Warhol: Pop Art Painter