Ruby's Wish ルビーのねがい

 今年の中国正月は、バレンタイン直後の2月18日。同じ色、赤がシンボルとなるお祝いを意識して『Ruby's Wish』を娘と読む。19世紀の中国を垣間見る絵本として読むのも楽しい。
 ルビーのおじいちゃんは、米国ゴールドラッシュで巨万の富を築いた数少ない中国人だ。帰国して豪邸を建て、当時のお金持ちがしたように何人もの妻を迎え子どもをたくさん作り、その子どもたちも何人もの妻を迎えたので、孫の数は100人に上った。そんな理由から、おじいちゃんは敷地内に学校を作り、先生を雇って、孫たちに教育を施した。その中で、ひときわ才能を示したのがルビーだった。でも、当時の中国は男尊女卑の甚だしい社会。女の子は、大学になど行かせてもらえない。成長したら結婚をし、家庭を守ることだけが求められていた。
 ここまで書くと、ルビーの願いが何なのか、うっすらと見えてしまうかな。古いしきたりからルビーがどうやって人生を切り開いていくか。興味深いのは、絵本が実話を元にして制作されたという点だろう。最後にルビーさんの写真が載っていて、感動ものである。加えて、繊細なイラストレーションの美しいこと! 歴史、文化、風習を知るのにもいいし、アートを堪能するのにも向く絵本。
 小さな子どもよりは、自意識を持ち始める年代の子どもたちに読むといい。(asukab)
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  • ルビーは赤が大好き。娘もルビーの赤に魅せられた

Ruby's Wish

Ruby's Wish