D is for Dragon Dance 春節を祝う絵本 中国本土風のイラストがいい

 春節を前に、心惹かれる絵本に出会う。中国正月を紹介する絵本は多くあるけれど、どれも米国に輸入された(中国系米国人の)お祝いの雰囲気が漂い、中国本土らしい〜と感じるイラスト絵本が少ないなあと感じていた。ノンフィクション写真絵本は、なんとなく教科書のようだし。でも、『D is for Dragon Dance』は求めていたイメージの絵本に近かった。作者が中国出身ということが大きいと思う。
 ABCで春節の様子を紹介していくのだが、「A is for Acrobat」というところから、もう米国の中国系コミュニティーにはあまり見られない文化だ。ほかには、散髪――男の子の三か所を刈り残す髪型――をしたり、世界中に散らばった華僑たちが本土に戻る大移動の期間である……といったような内容が新鮮だった。何よりイラストが鮮やかで、中国風の濃い色合いがたっぷり。表紙からその雰囲気は伺えないけれど、昭和時代の漫画のように描かれる子どもたちの顔も「らしさ」を醸している。買おうかな……と心揺らいだ一冊。(asukab)
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D is for Dragon Dance

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